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【社労士解説】勤怠管理基礎知識<働き方改革>時間外労働の上限規制編

最終更新日 2021.10.21

【社労士解説】勤怠管理基礎知識<働き方改革>時間外労働の上限規制編

働き方改革の「時間外労働の上限規制」について正しく認識しているでしょうか。労働時間の管理は労務管理の基本です。適切な労務管理のためにも、時間外労働の上限規制について、今一度確認していきましょう。

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目次

    働き方改革とは何か

    働き方改革とは何か

    働き方改革とは、個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を「選択」できるようにするための改革です。
    働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(いわゆる「働き方改革関連法」)」の成立に伴い、改正された労働関連法令が2019年4月から順次施行されています。

    働き方改革の背景と目的

    働き方改革の背景と目的

    総務省が公表している平成30年版情報通信白書の「我が国の人口及び人口構成の推移」によると、2017年における15~64歳の生産年齢人口は、7,596万人(総人口に占める割合60.0%)でした。しかし、2040年には5,978万人(総人口に占める割合53.9%)まで減少すると推計されています。

    今後、少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少し、国内需要の減少による経済への影響や労働力不足、医療・介護費の増大など、さまざまな問題の深刻化が懸念されます。

    人口減少がもたらす課題は、国家だけの問題ではありません。「人生100年時代」といわれるように、日本に住む一人ひとりが、長い人生をいかに有意義に過ごすかを考える必要に迫られています。また、人口の減少が進む中で経済社会水準を維持するには、一人あたりの所得水準を高めることが必要となってきます。それには、限られた労働力でいかに多くの付加価値を生み出すかが重要となります。

    少子高齢化による生産年齢人口の減少、働く方々のニーズの多様化などの課題を解決するには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です。その環境整備がいわゆる「働き方改革」といわれています。

    働き方改革の重要施策の一つが「長時間労働の是正」です。
    長時間労働の是正を実現するため、「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の確実な取得」などの内容を盛り込んだ法律が施行されることになりました。

    なぜ時間外労働の上限規制が必要なのか

    なぜ時間外労働の上限規制が必要なのか

    長時間労働の是正には、ワーク・ライフ・バランスを改善し、女性や高齢者にも仕事に就きやすい社会とすることで、労働参加率の向上を図る目的があります。長時間労働は労働者の健康を害する原因にもなり、また少子化や女性のキャリア形成を阻む要因となることが指摘されていました。
    こうした背景を踏まえて、法改正で労使が協定しても超えることのできない時間外労働の上限を規制する、いわゆる「時間外労働の上限規制」が労働基準法に明記されました。
    厚生労働省が公表している「令和3年版労働経済の分析(厚生労働省)」によると、時間外労働の上限規制の導入と年5日の年次有給休暇の確実な取得を背景に、労働時間が2019年、2020年と比較的大きく減少しています。
    週の労働時間が60時間以上の雇用者の割合も、男性を中心に減少傾向です。
    2020年は新型コロナウイルスの影響により、休業をした企業も多い傾向のため一概にはいえませんが、2019年4月の法施行以降、時間外労働の上限規制によって日本全体の労働時間が減少する動きになっていることはたしかでしょう。

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    時間外労働の上限規制の概要

    時間外労働の上限規制の概要

    時間外労働の上限規制について具体的に見ていきましょう。

    労働者に原則1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させる場合や、原則毎週少なくとも1回の休日に労働させるためには、労働基準法36条に定める労使協定(36協定)を締結する必要があります。36協定で定める時間外労働に罰則付きで上限が設けられたのが、いわゆる「時間外労働の上限規制」です。

    これまでも厚生労働大臣の告示による上限基準がありましたが、罰則による強制⼒がないものでした。また、特別条項付きの36協定を締結することで上限なく時間外労働を⾏わせることが可能となっており、限度基準告示は実効性のないものだったともいえます。

    いつから

    大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用されています。

    36協定の限度時間

    法律上の時間外労働の上限は、原則月45時間・年360時間です。特別な事情がある場合、労使で合意することによって締結する特別条項があったとしても、以下の4つを守らなければなりません。

    • 時間外労働は年720時間以内
    • 時間外労働と休⽇労働の合計は⽉100時間未満
    • 時間外労働と休⽇労働の合計時間は、「2ヵ月平均」「3ヵ月平均」「4ヵ月平均」 「5ヵ月平均」「6ヵ月平均」のすべてを1ヵ月あたり80時間以内
    • 時間外労働が月45時間を超えられるのは、年6ヵ⽉(年6回)まで

    ②と③については、時間外労働と休日労働の合計となるため、注意しましょう。従来の限度基準告示は、法定労働時間を超えて延長できる時間数のみ対象とします。しかし、改正法では休日労働の時間もカウントするため、休日労働が多い場合には特に注意が必要です。

    時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上にならないように管理し、また、「2ヵ月平均」「3ヵ月平均」「4ヵ月平均」「5ヵ月平均」「6ヵ月平均」のすべてで、毎月、時間外労働と休日労働の合計が80時間以内に収まるかをチェックしなければなりません。

    POINT【36協定】

    罰則

    今回の改正によって設けられた「時間外労働の上限規制」は、臨時的な特別な事情がある場合でも上回ることができない、罰則による強制力があることが特徴です。
    もし、違反した場合には、最悪の場合、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」を科せられる可能性があります。

    猶予

    以下の事業・業務については、上限規制の適用が2024年3月31日まで猶予されます。

    事業主区分 猶予期間中の取扱い
    (2024年3月31日まで)
    猶予期間後の取扱い
    (2024年4月1日から)
    建設企業 時間外労働の上限規制は適用されない 2024年4月1日以降、建設事業ではすべての上限規制が適用

    ※災害時の復旧・復興については、「月100時間未満」「2~6ヵ月平均80時間以内」とする規制は適用無し
    自動車運転の業務 特別条項付きの36協定の締結により、「年960時間以内」まで可能

    ※「月100時間未満」「2~6ヵ月平均80時間以内」「時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヵ月まで」の規制は適用なし
    医師 ※今後、省令で定められる予定
    鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業 「月100時間未満」
    「2~6ヵ月平均80時間以内」とする規制は適用なし
    時間外労働の上限規制のすべてが適用

    2024年3月31日まで建設事業については、その事業に従事するすべての従業員に時間外労働の上限規制は適用されません。
    運送業や病院などの場合は運転主や医師の業務に従事する従業員のみ時間外労働の上限規制が猶予されます。運行管理者や事務員、看護師などの業務に従事する従業員は、上限規制が適用されることになるため、注意が必要です。

    除外

    新技術・新商品などの研究開発業務は、時間外労働の上限規制の適用除外業務です。ただし、法改正された労働安全衛生法により、2019年4月1日からは「1週間あたり40時間を超えて労働した時間が月100時間を超えた労働者」に対して、医師の面接指導が罰則付きで義務付けられています。
    会社は、面接指導を行った産業医などの意見を勘案し、必要に応じて就業場所や職務内容の変更、有給休暇の付与などの措置を講じることが必要です。

    POINT【36協定】

    POINT【36協定】

    ここで、36協定についておさらいしておきましょう。

    36協定とは?

    36協定は「サブロク協定」と呼ばれ、正式名称は「時間外労働、休日労働に関する協定届」です。
    労働時間は、原則1日8時間・1週40時間以内とされており、これを「法定労働時間」と呼びます。労働者に、原則1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させる場合や、原則毎週少なくとも1回とされる法定休日に労働させるためには、労働基準法36条に定める労使協定(36協定)を締結し、これを労働基準監督署に届け出なければなりません。

    36協定は、事業場ごとに締結する必要があり、労働基準監督署へ届け出ることで効力が生じます。これにより、労働者に原則月45時間・年360時間までの時間外労働を行わせることが可能です。36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1ヵ月、1年あたりの時間外労働の上限」などを決めます。

    また36協定では臨時的に特別な事情があって労使が合意する場合に、月45時間・年360時間の限度時間を超えて時間外労働を行わせることができる条項を設けることができます。この特別条項を定めた36協定は、「特別条項付の36協定」などと呼ばれます。特別条項は、特別かつ臨時的な状況に限って締結できます。

    協定届フォーマット

    「36協定届」には、フォーマットがあります。2019年4月にスタートした「時間外労働の上限規制」の法改正にもとづき、特別条項専用の様式が新設されました。また、2021年4月から押印廃止と労働者代表のチェックボックス新設に伴い、書式がリニューアルされています。

    新設された労働者代表に関するチェックボックスは、労働者代表の条件や選出方法の遵守するためのものです。労働者代表選出のポイントは以下の3点です。

    • 管理監督者以外の者であること
    • 投票や挙手などの民主的な手法で選出すること
    • 労働者の過半数を代表する者であること

    36協定の書式は7種類あり、必要に応じて使い分ける必要があります。一般的には、以下の4つを使うことが多いでしょう。

    様式第9号 一般労働者について時間外・休日労働を行わせる「一般条項」
    様式第9号の2 限度時間を超えて時間外・休日労働を行わせる「特別条項付きの36協定」
    様式第9号の3 技術・新商品等の研究開発業務に従事する労働者を対象
    様式第9号の4 適用猶予期間中における、建設業や自動車運転者などの適用猶予事業・業務に従事する労働者を対象

    フォーマットはこちらから確認できます。

    社労士アドバイス

    時間外労働の上限を守るには、従業員の正確な労働時間の把握が必要不可欠です。労働時間を単に合計するだけではなく、時間外労働の上限規制を順守した時間管理が必要になります。それには、項目および該当期間ごとに時間外労働や、休日労働の時間数を把握しなければなりません。

    時間外労働の上限規制に対応するには、紙やエクセル、タイムカードでの管理では限界があります。項目および期間ごとに上限時間を超えないように、アラートを出して注意を促すなどの仕組みづくりがなければ、上限を守ることは難しいでしょう。

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    監修執筆者
    加治 直樹

    加治 直樹

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    銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。

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