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適用猶予業種に向けた働き方改革推進支援助成金を新設?厚生労働省が予算概算要求【社労士監修】

最終更新日 2023.02.10

適用猶予業種に向けた働き方改革推進支援助成金を新設?厚生労働省が予算概算要求【社労士監修】

※この記事は、2022年12月時点の情報をもとに作成しています。

厚生労働省では現場の長時間労働の解消へ向け、2023年度に「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」を新設することを検討しています。2024年4月から、建設業や運送業、医師等も時間外労働の上限規制が適用されることから、主にそれら対象企業が労働時間短縮にかけた経費を助成する目的の制度となります。

この記事では、時間外労働の上限規制の適用が猶予されている事業・業務と新設予定の助成金の内容について分かりやすく解説します。

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目次

    2022年の助成金制度をおさらい

    2022年の助成金制度をおさらい

    働き方改革推進支援助成金とは、長時間労働の是正など働き方改革に取り組む中小企業事業主や事業主団体に対して、その費用の一部を助成するものです。

    2022年に実施された働き方改革推進支援助成金は以下の4つのコースです。

    労働時間短縮・年休促進支援コース
    勤務間インターバル導入コース
    労働時間適正管理推進コース
    団体推進コース

    ここからは、4つのコースの概要を紹介します。

    労働時間短縮・年休促進支援コース

    ※補正予算成立に伴い2022年12月12日(月)〜2023年1月13日(金)の間受付再開しています。

    このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する支援金です。支援金を受給するには、次の4つの「成果目標」から1つ以上を選択し、達成を目指す必要があります。

    4つの成果目標は次の内容です。

    36協定の見直しによる労働時間の縮減、上限設定を行い、所轄労働基準監督署長に届け出を行う
    年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する
    時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入する
    特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇)のうち、いずれか1つ以上を新たに導入する

    支給対象となる取組みがいくつか設定されており、その実施に要した経費の原則4分の3が支給されます。また、3%以上の賃金額の引上げ目標を設定して目標達成した場合、引き上げ率や引き上げた人の数によって、最大240万円の金額が加算されます。
    ※補正予算成立により5%以上の賃金額引上げの場合、最大480万円の金額が加算されます。

    勤務間インターバル導入コース

    ※補正予算成立に伴い2022年12月12日(月)~2023年1月13日(金)の間受付再開しています。

    「勤務間インターバル」とは、勤務と勤務の間に一定時間以上の「休息時間」を設けることです。生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るもので、2019年4月から、制度の導入が努力義務化されました。

    支援金を受給するには、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある等の条件があります。

    支給対象となる取り組みに要した経費の原則4分の3が支給されます。上限額は設定した勤務間インターバル時間の長さ等によって異なります。

    賃金額の引き上げ目標を達成した場合、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様に引き上げた人数によって加算されます。

    労働時間適正管理推進コース

    2020年4月1日から、賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されています。このコースでは、生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主向けの助成金の支援を行っています。

    支援金を受給するには、次の条件をいずれも満たす必要があります。

    勤怠管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していない
    就業規則等に賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが規定されていない

    上記を改善して、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」についての研修を実施することが必須となります。

    支給対象となる取り組みに要した経費の原則4分の3、上限額は100万円までが支給されます。

    また、賃金額の引上げ目標を達成した場合、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様に引き上げた人数によって加算されます。

    団体推進コース

    ※交付申請期限は2022年11月30日までとなります。

    中小企業事業主の団体や、その連合団体が、労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを実施した場合に、助成されます。

    支給対象となるのは、次の要件を満たす事業主団体等です。

    3事業主以上で構成し1年以上の活動実績がある
    労働者災害補償保険の適用事業主である
    中小企業事業主の占める割合が全体の2分の1を超えている

    上記団体が、事業実施計画で定められた時間外労働の削減又は賃金引上げに向けた改善事業を行う等、成果目標の達成を目指した取組みを実施することが必須となります。

    支給額は、以下のいずれか低い方の額です。

    対象経費の合計額
    総事業費から収入額を控除した額
    上限額500万円

    【新設予定】働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)

    【新設予定】働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)

    ※2022年12月時点の情報となります。

    ここからは、新設が検討されている働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)について説明します。

    こちらの助成金は、2024年4月以降に時間外労働の上限規制が適用される対象事業・業務への労働時間短縮等に向けた支援策で、労働時間短縮に必要な取り組みを行った事業主へ経費を助成する制度です。なお、各業種・業務について法規制が異なることから、業種ごとにそれぞれ成果目標が設定される予定です。

    以下、働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)の主な内容について説明します。

    対象となる事業・業務
    助成対象となる取り組み
    助成率

    それでは、順番に確認していきましょう。

    対象となる事業・業務

    まずは、助成金の対象となる事業・業務について説明します。

    対象となるのは時間外労働の上限規制の適用猶予とされる事業・業務です。具体的には、以下の4つが助成対象です。

    建設事業
    自動車運転の業務
    医業に従事する医師
    砂糖製造業 (鹿児島県・沖縄県)

    なお、2024年度以降も上限規制の適用除外とされる「新技術・新商品等の研究開発業務」についてはこちらの助成金の対象外です。

    助成対象となる取組み

    助成の対象となるのは以下の取り組みです。

    就業規則等の作成・変更費用
    業務研修を含む研修費用
    外部専門家によるコンサルティング費用
    労務管理用機器等の導入・更新費用
    労働能率の増進に資する設備や機器等の導入・更新費用
    人材確保等のための費用等、労働時間短縮や生産性向上に向けた取り組みに必要な経費

    助成率

    ここからは助成率について説明します。

    助成率は対象となる経費の4分の3です。ただし、以下の条件をいずれも満たす事業主は助成率が5分の4になります。

    労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える
    事業規模30名以下

    なお、助成上限額は、それぞれの事業・業務ごとに定める成果目標の達成状況に応じて設定される予定です。詳しくは以下の資料をご確認ください。

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    時間外労働の上限規制における適用猶予事業とは

    時間外労働の上限規制における適用猶予事業とは

    2019年の働き方改革関連法案の法改正で時間外労働は原則月45時間まで、年間でも360時間までという罰則付きの規制ができましたが、「建設業」「医師業」「自動⾞運転の業務」「⿅児島県及び沖縄県における砂糖製造業」においては、業務の都合で長時間労働になりやすいことから適用まで5年の猶予を設けて2024年4月から対象とされてきました。

    事業・業態ごとに取り扱いが異なるため、それぞれ上限規制の内容を確認しておきましょう。

    なお、前提知識として時間外労働の上限規制とは何かを詳しく知りたい場合は、以下の記事を参照ください。

    建設事業

    建設事業に対する上限規制の内容は、以下の通りです。

    猶予期間中の取扱い
    (2024年3⽉31日まで)
    猶予後の取扱い
    (2024年4⽉1日以降)
    建設事業 上限規制は適用されません。 災害の復旧・復興の事業以外は上限規制が
    すべて適用

    ただし、猶予後も災害の復旧・復興の事業に関しては、時間外労働と休日労働の合計について、次の規制は適用されません。

    ⽉100時間未満
    2〜6か⽉平均80時間以内

    自動⾞運転の業務

    自動⾞運転の業務に対する上限規制の内容は、以下となっています。

    猶予期間中の取扱い
    (2024年3⽉31日まで)
    猶予後の取扱い
    (2024年4⽉1日以降)
    自動⾞運転の業務 上限規制は適用されません。 特別条項付き36協定を締結する場合の
    年間の時間外労働の上限は年960時間

    ただし、猶予後も次の規制は適用されません。

    時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは年6か⽉までとする規制
    時間外労働と休⽇労働が⽉100時間未満、2〜6か⽉平均80時間以内とする規制

    医師

    医師に対する上限規制の内容は、以下となっています。

    猶予期間中の取扱い
    (2024年3⽉31日まで)
    猶予後の取扱い
    (2024年4⽉1日以降)
    医師 上限規制は適用されません。 原則として時間外労働の上限は960時間、
    ただし特例水準となる場合はそれぞれ連携B、
    Bは年1,860時間、C-1、C-2は年1,860時間
    ※いずれも例外あり、休日労働含む

    原則となる上限時間はありますが、都道府県による特例水準医療機関の指定を受けることで指定対象業務に従事する医師は、各特例水準に基づいた時間外労働の上限適用が可能になります。

    ⿅児島県および沖縄県における砂糖製造業

    ⿅児島県および沖縄県における砂糖製造業に関しては、猶予期間中(2024年3⽉31日まで)は、時間外労働と休日労働の合計について、以下の規制は適用されません。

    月100時間未満
    2〜6か⽉平均80時間以内

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    建設業や運送業、医師等などに対する時間外労働の上限規制において設けられていた猶予期間は、2024年の適用まで残り僅かとなりました。
    長時間労働を減らすためには、現状の業務を見直し、業務の必要性や効率化の検討が必要です。その第一歩として、正しい勤務実態の把握と管理体制の整備が重要です。

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    監修者
    岡 佳伸

    岡 佳伸

    執筆者リンク

    社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所
    大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会講師および記事執筆、TV出演などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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