法定三帳簿とは?作成・管理方法、罰則【社労士解説】

法定三帳簿

法定三帳簿とは?作成・管理方法、罰則【社労士解説】

従業員の労務管理を適切に行うために作成・保管の義務がある「法定三帳簿」について、正しく理解できているでしょうか。法律で定められた重要な書類であり、管理を怠ると罰則が適用される可能性があります。企業の人事労務担当者にとって知らないでは済まされない「法定三帳簿」。適切な労務管理をするためにも、今一度確認をしていきましょう。

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この記事の目次

    法定三帳簿とは?

    法定三帳簿とは?

    法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つの帳簿のことを指します。
    労働基準法では、労働者を雇用した場合、法定三帳簿を整えて一定期間保存することが義務づけられています。各帳簿とも、法令で記載すべき項目が定められており、労働基準監督署による監督の際に提出を求められる可能性がある重要書類です。

    それぞれの帳簿について詳しく見ていきましょう。

    労働者名簿

    労働基準法第107条では、以下のような記載があります。

    使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日々雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない

    記載項目

    労働者名簿に記入しなければならない事項は、労働基準法施行規則第53条に具体的に定められています。

    • 性別
    • 住所
    • 従事する業務の種類
      (常時30人未満の労働者を使用する事業については記入不要)
    • 雇入の年月日
    • 退職の年月日及びその事由
      (退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)
    • 死亡の年月日及びその原因

    保存期間・起算日

    書類の保存期間は、消滅時効の改正を内容とする民法の改正に合わせて5年に延長されましたが、経過措置として当分の間は3年とされています。(※)
    保存期間の起算日は、「労働者の死亡・退職・解雇の日」となることも覚えておきましょう。

    様式

    様式は、第19号の様式を使用しますが、記載内容に漏れがなければ会社独自の様式で作成しても問題ありません。

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    賃金台帳

    労働基準法第108条では、以下のような記載があります。

    使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない

    記載項目

    賃金台帳に記入しなければならない事項は、労働基準法施行規則第54条に具体的に定められています。

    • 労働者氏名
    • 性別
    • 賃金の計算期間
    • 労働日数
    • 労働時間数
    • 時間外労働時間数
    • 深夜労働時間数
    • 休日労働時間数
    • 基本給や手当等の種類と額
    • 控除項目と額

    保存期間・起算日

    書類の保存期間は、労働者名簿と同様に経過措置として当分の間は3年。
    保存期間の起算日は、「労働者の最後の賃金について記入した日」です。

    様式

    様式は、通常の労働者(常用)の場合は様式20号、日雇い労働者の場合は様式21号を使用します。
    労働者名簿同様、記載内容に漏れがなければ会社独自の様式で作成しても問題ありません。

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    出勤簿

    出勤簿は、労働基準法に明記されていない任意の書類です。しかし、2017年1月20日に策定された厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録に関する書類を保存しなければならないことが明記されています。

    記載項目

    出勤簿などのように以下の書類は、労働関係に関する重要書類として適切に記載して保存する必要があります。

    • 出勤簿やタイムレコーダー等の記録
    • 使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類
    • 残業命令書及びその報告書
    • 労働者が記録した労働時間報告書等

    保存期間・起算日

    保存期間は労働者名簿や賃金台帳と同様に経過措置として当分の間は3年。
    保存期間の起算日は、「労働者の最後の出勤日」です。

    様式

    様式は任意です。

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    法定三帳簿作成の留意点

    法定三帳簿作成の留意点

    更新頻度

    労働者名簿 変更の都度
    賃金台帳 給与支払いの都度
    出勤簿 日々の記録が必要

    労働者名簿は変更の都度、賃金台帳は給与支払いの都度更新する必要があり、出勤簿は日々の記録が必要です。

    日雇い労働者の取扱い

    労働者名簿 労働者名簿を作成する必要はありません
    賃金台帳 日雇い労働者も含めたすべての労働者について作成する義務があります
    出勤簿 出勤簿自体が賃金台帳との結びつきが強いことを踏まえると、日雇い労働者を除外することは望ましくありません

    <労働者名簿>
    日雇い労働者については、労働者名簿を作成する必要はありません。
    しかし日雇い労働者を除いたすべての労働者について労働者名簿を作成する義務があります。パートやアルバイトも含まれます。

    <賃金台帳>
    一方、賃金台帳は、日雇い労働者も含めたすべての労働者について作成する義務があるため、注意が必要です。
    他の労働者と同じく労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数などを賃金台帳に記入することが必要になります。

    <出勤簿>
    出勤簿は、労働基準法に明記されていない帳簿です。日々の出退勤の記録としてタイムカードの記録や、ICカードの記録などで代用することもできます。しかし、日々の出退勤の記録や労働時間の記録として出勤簿自体が賃金台帳との結びつきが強いことを踏まえると、日雇い労働者を除外することは望ましくありません。
    出勤簿やタイムカードなどは、賃金台帳に記入すべき事項を集計するもととなる大切な記録ですので適切に管理してください。

    労働者名簿賃金台帳 の様式のテンプレートは、厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。作成方法がわからない場合には、ぜひ参考にしてください。

    出勤簿保存期間の留意点

    出勤簿保存期間の留意点

    賃金台帳の保存期間の起算日は「労働者の最後の賃金について記入した日」、出勤簿の保存期間の起算日は「労働者の最後の出勤日」となります。
    しかし、賃金の支払期日が最後の出勤日の日より遅い場合には、賃金の支払期日が起算日となることに留意しなければなりません。

    例えば、賃金計算期間と支払期日が月末締翌月10日払いの場合で、労働者が月末に退職した場合、「労働者の最後の出勤日」は月末となります。しかし、賃金の支払期日が最後の出勤日より遅いため、出勤簿やタイムカードなど労働関係に関する重要な書類の保存期間の起算日は翌月10日です。

    この場合の保存期間は、翌月10日から起算して3年となります。

    罰則

    罰則

    労働者名簿の調製、賃金台帳の調整、各種書類保存は、法律で定められた使用者の義務です。労働基準監督署から指導を受けたにもかかわらず従わない場合、30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。(※)

    管理・保管方法

    管理・保管方法

    法定三帳簿は、記載内容に漏れがなければ、労働基準監督署の様式を使用せず、紙以外の任意方法で管理・保管することが可能です。 労働基準監督署や行政機関に提出を求められた際、すみやかに対応できれば問題ありません。
    事業所や支店が複数ある場合、事業所別、支店別でまとめることも可能です。

    おすすめの管理・保管方法

    従業員が少ない場合には、紙やエクセルでの調製でも対応は可能ですが、労働者名簿は変更の都度、賃金台帳は給与支払いの都度更新し、出勤簿は日々の記録が必要です。紙やエクセルで運用すると集計や転記、給与システムへの入力ミスが発生しやすくなってしまいます。

    また「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると労働時間の管理は「使用者が自ら現認」「客観的な記録を基礎」が原則です。そのため、紙やエクセルでのみ出勤簿を作成した場合は、「客観的な労働時間の記録」として認められない可能性があります。

    勤怠管理システムで出勤簿を管理・保存すれば、「客観的な労働時間の記録」として認められ、人為的なミスも最小限に抑えることができるでしょう。クラウド型を使用すれば、法律改正があった際でも、システム側で適切に法改正対応が行われます。また、外出先でも打刻可能など、利用者にとってもメリットがあります。適切な労務管理を行い業務の効率化を図るためにも、クラウド型の勤怠管理システムで管理することをおすすめします。

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    加治 直樹
    • 監修加治 直樹
    • 銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。
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