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タイムカードの適切な計算方法とは?端数処理の基本からよくあるNG例まで紹介【社労士監修】

最終更新日 2023.02.10

タイムカードの適切な計算方法とは?端数処理の基本からよくあるNG例まで紹介【社労士監修】

タイムカードの計算や端数処理は法律によって定められており、知らずに計算していると違法となってしまう可能性もあります。そのため、勤怠管理では正しい計算方法や管理方法の理解が大切です。

そこで本記事ではタイムカードの計算に関連する法律や、よくある間違いを解説します。

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目次

    労働時間の管理は法的義務

    労働時間の管理は法的義務

    労働基準法第4章の対象となる事業所の労働者は、使用者による勤怠管理が必要です。(※1)

    しかしながら現状、法令を無視した不適切な管理による賃金の未払いや長時間労働の諸問題が生じており、対策として2017年には厚生労働省による「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(以下厚労省ガイドライン)(※2)が公開されたり、労働基準監督署による臨検による介入が行われるなど、適切な勤怠管理の指導が行われています。

    まずは自社の労働時間の管理方法が適切なのか見直した後に、労働時間の計算方法の理解に進みましょう。

    労働時間と賃金支払いの基本

    労働時間と賃金支払いの基本

    適正な労働時間の管理を行うためには、労働時間の定義と労働時間に応じた賃金支払いの基本を理解することが前提となります。

    労働時間とは?

    厚労省ガイドラインでは労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」(※1)と定めています。なお、使用者(※2)は労働基準法で事業主を意味し、労働者(※3)は労働組合法で職業を問わず事業所に使用され、賃金を支払われる者を意味します。

    具体的に労働時間と判断される内容としては、通常業務に従事している時間をはじめ、業務に必要な準備行為や後始末、待機が命じられている時間(手待ち時間)、業務に必要な研修や学習などの時間も含まれます。

    (例)

    • 着用義務がある場合の着替えの時間(制服など)
    • 業務命令による資料の準備、後片付け
    • 客がいない時間のレジ係の待機時間
    • 業務命令による新しい業務に取り組むための情報収集

    など多数

    労働時間であるかどうかは、使用者の指揮命令下のもとに行われているかが基準となり、それぞれのケースごとに客観的な判断を下す必要があります。

    賃金の考え方

    労働者の賃金に関して、過不足なく賃金額や労働時間に対して全額を支払う必要があります。15分単位、30分単位、1時間単位などで労働時間を区切って端数を切り捨てたり、賃金計算後に100円未満の端数を切り捨てたりするのは違法となります。(※4)

    つまり、仮に7時間10分働いた労働者に対して、「10分の労働時間を切り捨てて7時間にする」などの時間の切り捨ては認められません。1分単位で賃金を計算する必要があるのです。

    タイムカード(労働時間)の計算ミスが招く罰則

    タイムカード(労働時間)の計算ミスが招く罰則

    労働時間に対する賃金支払いに問題があると、労働基準法第24条および第37条に違反する可能性があります。労働基準法第24条の違反は「30万円以下の罰金」(※1)、第37条の違反は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」(※2)が課せられます。

    それらの法令違反と考えられる場合は、まずは労働基準監督署が調査などに入り是正勧告が行われます。是正勧告に応じない場合や悪質な違反と判断された場合は、先述した罰則が適用されることとなります。

    また、リスクは罰則だけではありません。労働者や顧客から法律違反を犯した会社であるというイメージで見られ、自社の信用や信頼を失ってしまう可能性もあります。労働時間の計算や賃金の支払いは正確にする必要があるのです。

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    タイムカードの計算でよくあるNG例

    タイムカードの計算でよくあるNG例

    下記、タイムカードの計算でよくある間違いを「労働時間」「賃金」の2種類にわけて紹介します。

    ①労働時間

    【NG例】(※1)

    • 1日の合計労働時間を15分や30分、1時間単位などで計算をして端数を切り捨てる
      (例:6時間10分でタイムカードを切っているにもかかわらず6時間で記録をする)
    • 制服の着替えや業務に取り組む前の準備時間を労働時間にカウントしない
    • 就業中の移動時間を労働時間から差し引く
    • 残業時間をカウントしない
    • 打刻わすれをした場合は、たとえ実際に働いていたとしても労働時間とみなさず遅刻として処理する

    労働時間は、実際に使用者の指揮命令下に置かれていた時間が対象になり、1分単位で集計することが原則となります。その基本をベースにして時間外労働や深夜労働の勤務時間、遅刻・早退・欠勤の控除の計算をしてください。

    ②賃金

    【NG例】(※1)

    • 給与計算後に円未満(銭)や10円未満の残業代を切り捨てる
    • 時間外労働や休日出勤、深夜労働(22時以降)分の割増賃金を支払わない

    労働基準法第24条では賃金の支払い方法について下記の5つの原則を定めています。(※2)

    1. 通貨で
    2. 直接労働者に
    3. 全額を
    4. 毎月1回以上
    5. 一定の期日を定めて支払わなければならない

    この5大原則に則り、全額支払いをしなければなりません。時間外労働や休日労働、深夜労働においても、それぞれのケースに応じた割増率を乗せて賃金を支払う必要があります。
    円以下の端数が発生した場合は、切り捨てずに繰り上げなくてはなりません。

    端数処理が認められるパターンはある?

    原則は上記のとおりですが、一部例外として、事務の簡便化を目的として労働者の不利益にならない場合において端数処理が認められるケースがあります。
    詳しくは下記の記事に記載をしています。

    計算方法

    計算方法

    今回取り上げる計算方法は、低コストでの対応が可能な電卓とエクセルによるものです。それぞれ具体的な計算方法やメリット、デメリットを解説します。

    電卓

    基本的に60進数用のボタンがあれば終業時刻から始業時刻を引くことで勤務時間を計算することができます。

    電卓さえあればすぐに実施できる低コストな点がメリットですが、一方でデメリットも多く挙げられます。

    電卓への手打ち作業による計算ミス
    労働者の人数が多い場合は、計算に膨大な処理時間
    シフト制で一日に複数の出退勤を行う、時間外労働や深夜労働があるなど勤務形態が複雑な場合は、時間帯を分けて複数計算を行う必要がある

    上記から、少人数の事業所かつ時間外労働や深夜残業などがない基本労働制の会社であれば活用できるでしょう。

    エクセル(Excel)

    電卓による手打ちよりも効率的に労働時間を計算したいときは、エクセルなどの表計算ソフトを利用しましょう。表計算ソフトには数値を時間換算する機能等があるため、関数を使えば瞬時に労働時間を算出できます。

    また、インターネット上には勤怠管理用の無料のテンプレートやファイルなどがあります。「エクセル 勤務表」「エクセル 勤怠管理表」などと検索してご利用ください。

    エクセルなどの表計算ソフトによる労働時間の計算は、ソフト代やPCのみの低コストで利用できる点がメリットです。また、社内で関数を組むリソースがあれば、計算の自動化が可能です。

    ただし、デメリットとして表計算ソフトを活用しても手入力の工程があるため、計算ミスが発生する可能性があります。また法改正があるたびに法律知識のアップデートと関数の組み直しも必要です。社内に関数を組める人材が常に必要な点にも注意しましょう。

    勤怠管理システムへの切り替えも検討を

    労働者の労働時間管理を手計算やエクセルなどで行っている場合は、手作業ゆえの計算ミスのリスクや月初めの締め作業の業務量増加が懸念されます。また、法改正などの知識も常にアップデートしていく必要があるため、法令違反しないようなフローを考案する必要があります。

    業務負担や法令違反のリスクを軽減するなら、勤怠管理システムへの切り替えがおすすめです。

    【勤怠管理システムについてメリットとデメリット】

    メリット

    • 労働者ごとの勤務表(労働時間)を自動集計できる
    • 時間外労働や深夜労働なども自動で勤務時間を分けられる
    • 36協定や年次有給休暇の取得義務など法令遵守が必要なケースは一覧表などで確認できる
    • アラート機能によって、時間外労働の上限を越えそうな社員に通知を送ることができる。


    デメリット

    • システムの導入にあたり設定や従業員への周知などに時間が必要である
    • 月額費用や初期費用などがかかる

    勤怠管理システムは、出退勤時間の打刻情報をもとに法令にあわせた勤務時間の自動集計、36協定など残業時間の上限にあわせたアラート通知、年次有給休暇5日以上の取得義務にあわせた年次有給休暇管理簿など、法令にそった勤怠管理を行うためのさまざまな機能が搭載されています。
    また、過去の勤怠データも従業員別ですぐに検索できるので、内部監査や労働基準監督署による臨検など、いざというときの資料準備に手間取りません。

    実際にタイムカードから勤怠管理システムに切り替えたことで「経理担当が4人で3〜5日程度かかっていた給与計算を担当者1人で半日足らずで完了した」など負担軽減となった事例がありますので、是非ともご覧ください。

    一方で、全従業員が利用するシステムであるため、業種や事業規模によって必要な機能や重視するポイントは異なります。自社にあった勤怠管理システム選びの参考に、以下の記事をご覧ください。

    労働時間を正しく計算しよう

    今回はタイムカードを基にした労働時間の計算について、基本知識や法令なども併せて解説しました。

    労働時間の適正な管理は努力目標ではなく、法令で定められている義務です。違反すれば罰則が適用される可能性があります。罰則が適用されれば企業の信用・信頼がなくなってしまうため、法令も含めて理解する必要があります。

    特に端数処理のルールなど見落としがちな面に気を付けて、日頃の労働時間の管理を進めなければなりません。しかしながら、時間外労働などさまざまなケースに対応するためには、相応の知識やスキルが求められます。
    この機会に勤怠管理のあり方を見直して、労働時間や賃金の計算に活かしましょう。

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    監修者
    岡 佳伸

    岡 佳伸

    執筆者リンク

    社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所
    大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会講師および記事執筆、TV出演などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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