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【社労士解説】人事労務担当者が知っておくべき5つの最新法改正~2021年度施行版~

最終更新日 2021.07.15

【社労士解説】人事労務担当者が知っておくべき5つの最新法改正~2021年度施行版~

2020年に引き続き2021年も労働関係法令の改正が行われ、順次施行されています。人事労務担当者が知っておくべき法改正の注意すべきポイントをチェックし、自社での運用が適切かどうか確認していきましょう。

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目次

    子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得

    子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得

    育児や介護を⾏う労働者が⼦の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるよう、育児・介護休業法施⾏規則等が改正され、時間単位で取得できるようになりました。

    子の看護休暇は、小学校就学前の子どもの病気やけがなどで看護を必要とする従業員が利用できます。1年度に5日(対象となる子が2人以上の場合は10日)を限度として、休暇を取得することできる制度です。

    介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話を必要とする従業員が利用できます。1年度に5日(対象となる家族が2人以上の場合は10日)を限度として、休暇を取得することができる制度です。

    【いつから(施行日)】

    育児介護休業法

    2021年1月1日~

    【対象者】

    子の看護休暇:小学校就学前の子を養育する従業員
    介護休暇:要介護状態にある一定の家族の介護や世話をする従業員

    【注意すべきポイント】

    改正前までの取得単位は「1日」または「半日単位」でしたが、改正後は「1日」または「時間単位」での取得が可能となりました。また、1日の所定労働時間が4時間以下の従業員は取得できませんでしたが、法改正によりすべての従業員が取得できるように変更されています。
    ここでいう「時間」とは、1時間の整数倍の時間を意味し、従業員の希望する時間数で取得を認めなければなりません。

    対象者から日々雇用されるもの(日雇い労働者など)は除かれますが、労使協定を締結することで、以下の従業員を対象外にできます。

    <基本的な考え方>

    • 入社6ヵ月未満の従業員
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
    • 時間単位で取得することが困難な業務に従事する従業員
      (1日単位での取得は可能)

    さらに詳しく解説している「社労士解説【2021年1月施行】子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得義務化」もご参照ください。

    障害者の法定雇用率引き上げ

    障害者の法定雇用率引き上げ

    障害者雇用率制度とは、従業員が一定数以上の規模の事業主に対して、従業員に占める「身体障害者・知的障害者・精神障害者」の割合を「法定雇用率」以上にする制度(義務)のことです。
    対象となる事業主には、ハローワークに毎年6月1日時点の障害者の雇用状況を報告する義務や、「障害者雇用推進者」を選任する努力義務があります。(※1)

    【いつから(施行日)】

    障害者雇用促進法

    2021年3月1日~

    【対象者】

    従業員43.5人以上の民間企業の事業主

    【注意すべきポイント】

    法定雇用率の引き上げ

    法定雇用率が2021年3月1日から以下のように引き上げられました。

    事業主区分 法定雇用率
    変更前 2021年3月1日以降
    民間企業 2.2% ⇒ 2.3%
    国・地方公共団体等 2.5% ⇒ 2.6%
    都道府県の教育委員会 2.4% ⇒ 2.5%
    特例子会社制度

    事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合、一定の要件を満たすことで子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとして実雇用率を算定できる特例子会社制度があります。(※2)

    同一労働同一賃金の中小企業適用

    同一労働同一賃金の中小企業適用

    同一労働同一賃金は、同一企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消することが目的です。また、労働者がどのような雇用形態を選択しても納得して働くことができるルールを整備し、多様な働き方を選択できるようにすることを目指しています。

    パートタイム労働者と有期雇用労働者については「パートタイム・有期雇用労働法」、派遣労働者については「労働者派遣法」に、同一労働同一賃金の新ルールが定められました。

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    【いつから(施行日)】

    パートタイム・有期雇用労働法

    2020年4月1日~(大企業)
    2021年4月1日~(中小企業)

    労働者派遣法(改正)

    2020年4月1日~(大企業、中小企業とも)

    【注意すべきポイント】

    差別的取扱いの禁止(均等待遇)

    業務の内容および当該業務に伴う責任の範囲、職務の内容・配置の変更の範囲が同じ場合には、パート・有期雇用労働者を理由とした差別的な取り扱いをしてはいけません。基本給や賞与、その他の手当など、待遇のそれぞれについて通常の労働者と同様の待遇にすることが必要です。

    不合理な待遇差の禁止(均衡待遇)

    業務の内容および当該業務に伴う責任の範囲、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、パート・有期雇用労働者と通常の労働者との間で不合理と認められる相違を設けることが禁止されます。基本給や賞与、その他の手当など、待遇のそれぞれについて、待遇の性質や目的に照らして、バランスの取れたものとすることが必要です。

    待遇に関する説明義務の強化

    パート・有期雇用労働者から求められた場合には、通常の労働者との間の待遇差の内容や理由を説明できなければなりません。また、雇入れ時には待遇に関する企業の説明義務があります。

    ※派遣労働者については、派遣先の労働者との「均等・均衡待遇方式」、一定の  要件を満たす「労使協定方式」のいずれかによって待遇を決定します。

    70歳までの就業機会確保

    70歳までの就業機会確保

    働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、また高年齢者が活躍できる環境整備のため、高年齢雇用安定法が改正されました。
    70歳までの就業機会確保措置が努力義務として新たに加わっています。(※1)

    努力義務となった措置

    1. 70歳までの定年の引き上げ
    2. 定年制廃止
    3. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度など)の導入
    4. 70歳まで継続的な業務委託契約を締結する制度の導入
    5. 70歳まで事業主が自ら実施する社会貢献事業、事業主が委託し、または出資などにより資金提供をする団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入

    また、従業員に対して65歳までの雇用を確保することを義務としています。定年制がある企業は、定年年齢は60歳以上としなければなりません。また、65歳までの雇用確保措置として、以下の3つの措置のいずれかを講じる義務があります。

    義務となっている措置

    1. 65歳までの定年の引き上げ
    2. 定年制廃止
    3. 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度など)の導入
      ※継続雇用制度については、原則希望者全員となります。

    【いつから(施行日)】

    高年齢雇用安定法

    2021年4月1日~

    【注意すべきポイント】

    創業支援等措置

    新たに追加された努力義務措置の4と5は創業支援等措置と呼ばれ、過半数を代表する労働組合や過半数を代表する労働者代表の同意を得て導入します。創業支援等措置のみを講ずる場合、実施に関する計画を作成する必要があるので注意が必要です。
    また、1ヵ月以内に5人以上高年齢者等が会社都合により離職する場合には、ハローワークに多数離職届の提出が必要なことも忘れてはいけません。(※2)

    65歳以降の継続雇用の範囲

    65歳以降は、60歳以上65歳未満の継続雇用制度と異なり、自社の子会社や親会社、関連法人など特殊関係事業主以外の他社で継続雇用する制度を導入することも可能です。65歳以降の就業機会確保措置を導入する際は、厚生労働省のホームページで詳細を確認するようにしましょう。

    中途採用者比率の公表義務化

    中途採用者比率の公表義務化

    人生100年時代と呼ばれるようになり、企業が長期的かつ安定的な雇用の機会を中途採用者にも提供し、中途採用の環境整備をする目的から、中途採用者比率の公表が義務化されました。

    【いつから(施行日)】

    2021年4月1日~

    【対象者】

    301人以上常時雇用する労働者がいる企業

    ※「常時雇用する労働者」とは、期間の定めのない契約の従業員、過去1年以上の期間引き続き雇用されている従業員、雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる従業員などが該当します。

    【注意すべきポイント】

    インターネットの利用など求職者が容易に閲覧できる方法で、直近3事業年度において各年度の正規雇用労働者の中途採用比率を公表しなければなりません。公表は、おおむね年に1回、公表した日を明らかにする必要があります。

    まとめ

    2020年に引き続き、2021年も人事労務に関する重要な法改正が多く施行され、「働き方改革」推進の真っただ中といえます。今回紹介した法改正の注意すべきポイントを参考にして、就業規則の各種規定や自社の運用の見直しに活用してください。

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    監修執筆者
    加治 直樹

    加治 直樹

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    銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。

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