社労士解説【男性の育休取得促進】育児・介護休業法の改正/2022年4月~施行
育児・介護休業法を改正する法律は、2021年6月9日に公布され、2022年4月1日から3段階に分けて施行されます。今回の法改正の大きな特徴は、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設をはじめとした男性の育休取得促進です。現行法に比べて、さらなる柔軟な育児休業の枠組みが追加されています。
今回は育児・介護休業法の基礎から改正のポイントまで詳しくお伝えします。
施行までもうわずかです。今から準備を整えておきましょう。
この記事の目次
育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法とは、時間的制約を抱えて育児をしながら働いている従業員や家族の介護をしながら働く従業員が退職を余儀なくされる事態を防ぐために、仕事と家庭の両立支援を進めていくための法律です。
正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」。
略称は「育児・介護休業法」と呼ばれ、1991年5月15日に公布、1992年4月1日に施行されました。
育児・介護休業法施行の背景と目的
1990年の「1.57ショック」を契機に、出生率低下による子ども数の減少が社会的な問題となり、徐々に妊娠・出産・子育ての支援が強化されていきました。妊娠・出産・子育ての支援の必要性から、現在もなお、待機児童対策や保育制度の見直し、幼児教育・保育の無償化などさまざまな政策が行われています。
労働の分野でも、育児休業法の制定や育児休業給付制度の創設など、度重なる法改正により、仕事と子育ての両立支援を強化する施策が進められている最中です。
また、急速な高齢化社会の進展により、介護が大きな社会問題となっています。
労働者が仕事を失うことなく介護できる仕組み作りの必要性から、1995年6月に「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約」(ILO第156号条約)に日本も批准し、1995年10月に育児休業と並んで介護休業が法律に盛り込まれ、改正法がなされました。
仕事と家庭の両立しやすい職場づくりは、少子高齢化対策に必要不可欠な施策の一つです。現在国を挙げて推進しています。
- (参考):厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」
育児休業とは
育児休業とは、子ども1人につき原則1回、出産後の一定期間、育児のために休業できる制度です。
女性だけではなく男性の取得も推奨され、原則として子どもが1歳の誕生日の前日まで取得することができます。
パート・アルバイトなどに多い、契約期間の定めがある従業員(有期雇用労働者)も一定の要件を満たせば取得できます。ただし日々雇入れられる者は除かれます。
原則として子どもが1歳の誕生日の前日まで取得できますが保育所に入所できないなどの理由がある場合には、最長2歳の誕生日の前日まで休業が可能です。
また特例として両親ともに育児休業をする「パパ・ママ育休プラス」の場合子どもが1歳2ヵ月に達するまで育児休業が取得できます。
育児休業はすべての事業所に対して義務化されているため、要件を満たした従業員から申し出があった場合には、必ず取得させなければなりません。
介護休業とは
介護休業とは、対象家族1人につき3回、通算93日まで、要介護状態にある対象家族を介護するために休業できる制度です。要介護状態とは、負傷、疫病または身体上もしくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態を指します。また、対象家族の範囲は、配偶者 (事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
育児休業同様、有期雇用労働者も一定の要件を満たせば取得できますが、日々雇入れられる者は除かれます。性別に関係なく取得でき、要件を満たした従業員から申し出があった場合には、必ず取得させなければならず、業務の繁忙等を理由に、従業員からの申し出を拒むこともできません。
「子の看護休暇」「介護休暇」とは異なるので注意
「子の看護休暇」とは、小学校就学前の子を養育する従業員が、1年に5日(子どもが2人以上の場合は10日)まで、けがや病気をした子の看護や予防接種・健康診断を受けさせるために取得できる休暇です。
「介護休暇」とは、要介護状態にある家族の介護や世話をしながら働き続ける従業員が、1年に5日(対象となる家族が2人以上の場合は10日)まで、介護や世話をするために取得できる休暇です。子の看護休暇、介護休暇は、育児休業や介護休業とは異なる制度であることに注意しましょう。
なお、2021年1月の法改正より、1日の所定労働時間が4時間以下の従業員でも取得できるようになり、1日単位の取得だけでなく、時間単位で取得することを選択できるようになりました。
今回の改正の背景
今回の法改正の背景には、日本の人口減少の本格化があります。将来推計人口における2040年の出生数は約74万人と、2019年に比べて9割弱、1989年に比べると約6割の水準になる見込みです。このままでは、少子高齢化の進行と労働人口の減少により日本の経済・社会活動が危ぶまれる状況が予想されます。
また、後期高齢者の増加に伴い増え続ける医療費を中心とした日本の社会保障にかかる費用負担の増加は、重大な日本の社会問題の一つです。
2025(令和7)年までの少子化対策の指針となる「第4次少子化社会対策大綱」が策定され、2020年5月29日閣議決定されました。
少子化の主な原因は、特に未婚化・晩婚化の影響が大きいといわれています。また、担い手不足・人口減少という課題について、高齢者数がピークを迎える2040年を見据えなければいけません。仕事と子育ての両立の難しさや、子育てや教育にかかる費用負担の重さとあわせて、長く続く少子化の進行に歯止めをかける取り組みが重要となります。
今回の改正は、男性の育児休業取得促進のための取り組みが中心です。「結婚、出産、子育ての希望を叶えることができる環境整備」をさらに進め、「出産・育児等による従業員の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため」のものといえるでしょう。
- (参考):厚生労働省「出生数、合計特殊出生率の推移」
- (参考):厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」
今回の5つの改正ポイント
今回の改正のポイントを施行日別に整理すると、以下のようになります。
2022年(令和4年)4月1日
-
1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
- ・育児休業を取得しやすい雇用環境整備
- ・妊娠・出産の申出をした労働者に対する
個別の周知・意向確認の措置の義務付け
- 2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
2022年(令和4年)10月1日
- 3.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
- 4.育児休業の分割取得
2023年(令和5年)4月1日
- 5.育児休業取得状況の公表の義務化
雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
施行日:2022年4月1日
「育児休業を取得しやすい雇用環境整備」と「妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け」の2つのポイントについてそれぞれ解説します。
育児休業を取得しやすい雇用環境整備
現行の制度では、休業が取得しやすい環境整備に関する規定はありませんでした。今回の改正では、従業員が育児休業や産後パパ育休の申し出をしやすいように、雇用環境を整備することを義務付けています。
環境整備にあたっては、短期はもとより1ヵ月以上の長期休業の取得を希望する従業員が、希望する期間で休業を取得できるように配慮することが必要です。雇用環境整備として、研修、相談窓口の設置など以下いずれかの措置を企業が講じなければなりません。
そのため、従業員が複数の選択肢の中から選択できるように、複数の措置を講ずることが望ましいでしょう。
- ①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
- ②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
- ③自社の従業員の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
- ④自社の従業員へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
現行の制度でも、以下のようなときは個別に関連する制度を周知するための措置を講ずることが必要です。
- ・企業として従業員やその配偶者が妊娠・出産したことを知ったとき
- ・家族を介護していることを知ったとき
しかしこれは、企業の努力義務となっていました。今回の改正では、本人やその配偶者が妊娠・出産した旨の申し出をした従業員に対して、新制度や現行の育児休業制度等の周知と休業を取得する意向の確認を個別に行うことが企業の義務となります。
周知方法は、面談での制度説明や書面など以下の確認方法による制度の情報提供が考えられるでしょう。個別周知・意向確認の方法は、従業員が複数の選択肢の中からいずれかを選択できるようにしなければなりません。もちろん、育児休業の取得を控えさせるような周知や意向確認の方法は認められません。
周知事項
- ①育児休業・産後パパ育休に関する制度
- ②育児休業・産後パパ育休の申出先
- ③育児休業給付に関すること
- ④従業員が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
個別周知 ・意向確認の方法
- ①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
社労士アドバイス
企業の人事や総務担当者としては、周知事項や周知・意向確認の方法をルール化して、確実に実施しなければなりません。
使用者の義務として行うための就業規則の見直し、場合によっては書式・様式の作成も必要になります。法改正のスケジュールは決まっており、施行日までに準備を終え、従業員や関係者に周知できるよう、今から取り組むべきことのスケジュール化を進めましょう。
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
施行日:2022年4月1日
育児休業の取得要件
<施行後の2022年4月1日~>
- 1引き続き雇用された期間が1年以上雇用されていること ⇒(廃止)
- 21歳6ヵ月まで(2歳までの休業の場合は2歳)の間に労働契約が満了することが明らかでない
取得要件緩和のポイントは、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という有期雇用労働者の育児休業取得要件の廃止です。有期雇用労働者の場合には、これまで1年以上雇用されていないと育児休業が取得できないことになっていました。
今後は、雇用されていた期間が短くても、子どもが1歳6ヵ月(2歳までの休業の場合は2歳)までの間に退職することや雇用契約を更新しないことが確実ではない限り、育児休業を取得できることになります。
ただし、有期雇用労働者に限らず育児休業には、労使協定で対象外にできる従業員の一定の範囲を定めることが可能です。育児休業を取得することができない労使協定がある場合には、無期雇用の従業員と同様に、「引き続き雇用された期間が1年未満である従業員」については対象から除外できることになっています。
介護休業の取得要件
<施行後の2022年4月1日~>
- 1引き続き雇用された期間が1年以上→撤廃
- 2取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない
取得要件緩和のポイントは、育児休業と同様に、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という有期雇用労働者の介護休業取得要件の廃止です。取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までの間に退職することや雇用契約を更新しないことが確実ではない限り、介護休業を取得できることになります。
育児休業と同様、介護休業を取得することができないこととする労使協定がある場合には、無期雇用の従業員と同様に、「引き続き雇用された期間が1年未満である従業員」については対象から除外できることになっています。
社労士アドバイス
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和に伴い、就業規則を変更する必要が生じることはいうまでもありません。また、育児休業、介護休業ともに、それぞれの一定の期間までの間に「労働契約の期間が満了することが明らかではない」といった場合には、休業が取得できることになります。
6ヵ月や1年などの期間で契約を更新する従業員は多くいます。「労働契約の期間が満了することが明らかではない」というのは、休業申出時点で更新がないことが確実であるかどうかで判断されることになります。
有期雇用契約を理由にした不利益取り扱いや、パートタイム・有期雇用労働法、妊娠・出産・介護を理由とした不利益な取り扱いは、育児・介護休業法で禁止されています。労働契約法でも雇止めの規定があり、雇止めが争われる裁判例が多いことにも留意しなければなりません。
安易な取り扱いは、訴訟問題にまで発展する可能性があり、契約の実態を踏まえた慎重な取り扱いが必要となります。
産後パパ育休(出生育児休業)の創設と育児休業の分割取得 施行日:2022年10月1日
産後パパ育休の創設は、今回の改正の中でも男性の育児休業取得促進を図るための目玉となる制度といっていいでしょう。子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができ、分割して取得することも可能です。
育児休業の分割取得は保育所に入所できないなどの理由で1歳以降に育児休業を延長する場合、開始日を柔軟にすることで、各期間の途中でも夫婦で交代して育児休業を取得することが可能となります。
現行では、1歳以降に延長した場合の育児休業開始日が各期間の初日に限定されているため、夫婦で交代して育児休業を取得することが困難な制度でした。夫婦で協力して子育てを行い、かつ、夫婦ともに仕事と家庭の両立を可能とする、ワーク・ライフ・バランスを意識した制度設計となっています。
産後パパ産休制度と育児休業の分割取得を現行制度と比較すると以下のようになります。
産後パパ育休 (2022年10月1日~) 育休と別に取得可 |
育児休暇制度 (2022年10月1日) |
育休制度(現行) | |
---|---|---|---|
対象期間 取得可能日数 |
この出生後8週間以内に4週間まで取得可能 | 原則子が1歳(最長2歳)まで | 原則子が1歳(最長2歳)まで |
申出期限 | 原則休業の2週間前まで※1 | 原則1ヵ月前まで | 原則1ヵ月前まで |
分割取得 | 分割して2回取得可能 | 分割して2回取得可能 | 原則分割不可 |
休業中の就業 | 労使協定を締結している場合には、合意した範囲で休業中に就業できる※2 | 原則就業不可 | 原則就業不可 |
1歳以降の延長 | 育休開始日を柔軟化 | 育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定される | |
1歳以降の再取得 | 特別な事情がある場合に限り再取得可能※3 | 再取得不可 |
- ※1雇用環境の整備などについて、労使協定で今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組み実施を定める場合は、1ヵ月前までとすることも可能
-
※2具体的な手続きの流れ
- ①従業員が就業してもよい場合は、会社にその条件を申し出る
- ②会社は、従業員が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
- ③従業員が同意
- ④会社が通知
(下記就業可能日等の上限あり)
・休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
・休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
- ※31歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合、産休等の対象だった子等が死亡等したときは、再度育児休業を取得できる
社労士アドバイス
労使協定により法律を上回る内容で、従業員に配慮した取り組みを定めることは可能です。企業独自の育休取得率を引き上げるための制度をつくり、取り組むことを検討してはいかがでしょうか。また、産後パパ休業も雇用保険の出生時育児休業給付金の対象となります。
就労日数が最大10日(10日を超える場合には就労時間数が80時間以下)以内など、別途条件を満たす必要があるため、ハローワークへも確認のうえ、規程を作成するようにしましょう。
育児休業の取得の状況の公表の義務付け
施行日:2023年4月1日
2023年4月1日からは、従業員数が1,000人を超える企業の場合、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが、企業の義務となります
<公表内容(別途省令で定める予定)>
①「男性の育児休業等の取得率」
または
②「育児休業等と育児目的休暇の取得率」
①「男性の育児休業等の取得率」
②「育児休業等と育児目的休暇の取得率」
※1公表前事業年度:公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度
※2育児休業等:育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業、法第23条第2項(所定労働時間の短縮の代替措置として3歳未満の子を育てる労働者対象)または第24条第1項(小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業
※3育児を目的とした休暇:目的の中に育児を目的とするものであることが明らかにされている休暇制度(育児休業等及び子の看護休暇は除く)
上記①と②の取得率を計算するにあたって注意するポイントを見ていきましょう。
②「育児休業等と育児目的休暇の取得率」の「育児を目的とした休暇」には、育児・介護休業法に規定する子の看護休暇は含まれません。しかし、法律を上回る制度として導入した育児を目的とする企業独自の制度があれば、法律を上回る部分については、「育児を目的とした休暇」に含めることができることができます。
また、①「男性の育児休業等の取得率」、②「育児休業等と育児目的休暇の取得率」に共通する「男性労働者が育児休業等をしたものの数」には、産後パパ育休の制度も含めることが可能です。
くるみん認定とは
「くるみん認定」は、次世代育成支援対策推進法における一般事業主行動計画を策定して計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業が子育てサポート企業として、厚生労働大臣に認定される制度です。「くるみん認定」をすでに受け、両立支援の制度の導入や利用を進め、高い水準の取組を行っている企業として評価されるとワンランク上の「プラチナくるみん認定」を受けることが可能です。
2022年4月1日からは「くるみん認定」の基準が改正され、新たに「トライくるみん」が創設されます。「くるみん認定制度」は、広告などへ認定マークが掲載できたり、男女共に働きやすい職場として外部へアピールできたりするなど、企業のイメージアップが図れる制度です。
離職率の低下や採用時の入社希望者の増加に加え、日本政策金融公庫による低利の融資や両立支援等助成金の活用時におけるインセンティブなどさまざまなメリットがありますので、「くるみん認定」を目指して、働きやすい職場づくりに役立てましょう。
くるみん認定基準の改正と新設 施行日:2022年4月1日
くるみん認定基準の改正のポイントは、以下の2つです。
主な認定基準と変更点について見ていきましょう。
- ①くるみん認定・プラチナくるみん認定の改正
- ②トライくるみんの新設
「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」の共通要件は、以下の通りです。
共通要件については変更ありません。
- ・女性従業員の育児休業取得率
75%以上 - ・労働時間数
フルタイムの従業員の「月平均時間外労働および休日労働時間数」:45時間未満
すべての従業員の「月平均時間外労働時間数」:60時間未満
①くるみん認定・プラチナくるみん認定の改正
くるみん認定では、計画期間内における男性の育児休暇取得率の基準引き上げが行われます。そして、新たに男女の育児休業等取得率を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することが条件です。
<くるみん認定の基準の改正>
-
・男性従業員の育児休業等取得率
- 従来:「育児休業取得率7%以上」
または
「育児休暇+育児目的休暇取得率15%以上」 - 改正後:「育児休業取得率10%以上」
または
「育児休暇+育児目的休暇取得率20%以上」
- 従来:「育児休業取得率7%以上」
- ・「両立支援のひろば」で男女の育児休業等取得率を公表
プラチナくるみん認定では、計画期間内の男性の育児休暇取得率と女性の継続就業率の基準が以下のように引き上げられます。
<プラチナくるみん認定の基準の改正>
-
・男性従業員の育児休業等取得率
- 従来:「育児休業取得率13%以上」
または
「育児休暇+育児目的休暇取得率30%以上」 - 改正後:「育児休業取得率30%以上」
または
「育児休暇+育児目的休暇取得率50%以上」
- 従来:「育児休業取得率13%以上」
-
・女性従業員の継続就業率
- 従来:出産した女性従業員のうち
「子の1歳時点の在職者割合が90%以上」
または、
出産した女性従業員と出産予定だったものの退職した女性従業員
のうちで「子の1歳時点の在職者割合が55%以上」 - 改正後:出産した女性従業員のうち
「子の1歳時点の在職者割合」(変更なし)
または、出産した女性従業員と出産予定だったものの
退職した女性従業員のうちで
「子の1歳時点在職者割合が70%以上」
- 従来:出産した女性従業員のうち
-
・プラチナくるみん認定後
「次世代育成支援対策の実施状況」を毎年公表(変更なし)
②トライくるみんの創設
「くるみん」「プラチナくるみん」より条件が緩和された「トライくるみん」が新設されます。認定要件は現行のくるみんと同じで、下記3点を満たすと認定されます。
- ・女性従業員の育児休業取得率 75%以上
- ・労働時間数
フルタイムの従業員の「月平均時間外労働および休日労働時間数」:45時間未満
すべての従業員の「月平均時間外労働時間数」:60時間未満 - ・「育児休業取得率7%以上」または「育児休暇+育児目的休暇取得率15%以上」
その他、不妊治療と仕事の両立がしやすい職場環境の整備に取り組む企業に関する新たな認定制度が創設される予定です。今後も両立支援に向けた最新情報を随時確認するようにしましょう。
次世代育成支援対策推進法(次世代法)とは
「次世代育成支援対策推進法」は、「次世代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備する」目的で施行されました。法改正により有効期限が2025年3月31日まで10年間延長された背景があります。次世代の社会を担う子どもの育成は、国だけではなく社会全体が取り組む課題となっています。
社労士アドバイス
法改正に伴う就業規則の規定例が厚生労働省のホームページに掲載されていますので、就業規則を改定する際には是非参考にしてください。
企業独自の制度を作ることで、より従業員の満足度を高めることが期待できます。それには、企業のトップが率先して仕事と子育ての両立のサポートに理解を示すことが大切です。
企業として仕事と子育てをサポートできる体制を整えることで、従業員全体の意識も変わります。企業独自の休暇制度を設けることは、従業員の離職率の低下や働きやすい職場風土づくりにつながるでしょう。従業員のニーズを取りまとめ、育児休業を取得できない原因を職種ごとに分析し、どのような制度であれば自社に合った休暇制度となるのかを検討してみてください。
特に、男性の場合は、育児休業の取得で収入が減少することに抵抗を感じる人が多いかもしれません。また、職場や上司の理解が得られないと思い、休暇を取得することをためらってしまうケースが考えられます。
失効した年次有給休暇を育児目的に利用できるようにした「配偶者出産休暇」や「育児奨励休暇」など、法律で決められた水準を上回る休暇制度を導入している企業も多くあります。企業内で仕事と子育てをサポートするための担当部署やチームを作り、労使ともに積極的に推進することが大切です。
まとめ
今回、ご紹介した通り、育児・介護休業法の改正は2022年4月1日より段階的に施行され、法を遵守するだけでなく、就業規則の見直しなど実務で対応すべきことが多くあります。施行日までに準備を終え、従業員や関係者に周知できるように、今からスケジュールを立てておきましょう。
今回の法改正の大きな特徴は、男性の育休取得促進にあります。
今後、育児休業や介護休業の取り組みは、企業としてより一層常識となっていくでしょう。
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- 監修加治 直樹
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