【社労士解説】法定労働時間、所定労働時間とは?定義と違い

勤怠管理全般

【社労士解説】法定労働時間、所定労働時間とは?定義と違い

「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いを正しく理解できていますか?
正しい勤怠管理や給与計算には、正確な労働時間を把握し集計することが必要です。
労働時間の定義を理解できているかを確認し、勤怠管理や給与計算を正しく行いましょう。
今回は、法定労働時間と所定労働時間の違いについて詳しく解説していきます。

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この記事の目次

    そもそも労働時間とは

    そもそも労働時間とは

    そもそも労働時間はどのように定義されているのでしょうか。
    2017年1月20日に厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」から労働時間の考え方を見てみましょう。

    • 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる
    • 労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること
    • 客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること

    労働時間を判断するきっかけとなったことで有名な最高裁判例が、三菱重工業長崎造船所事件(最一小判平12.3.9)です。同判決では、以下の項目が「使用者の指揮命令下」に置かれていると評価し、労働基準法上の労働時間にあたるとしました。

    • 作業服や保護具の装着や脱離を事業場内の更衣室で行う時間
    • 始業時刻前に事業場内で行うことが義務づけられている副資材等の受出しや散水準備行為や後始末の時間

    また、大星ビル管理事件(最一小判平14.2.28)では、労働から離れることが保障されていない仮眠時間を労働基準法上の労働時間と評価しています。なぜなら、24時間勤務のビル警備員の仮眠時間について、仮眠室で待機し警報や電話などがあればただちに対応する義務があるからです。

    あくまで労働時間かどうかは「使用者の指揮命下に置かれているかどうか」で判断されます。
    先述したガイドラインにおける、労働時間に該当する例は以下の通りです。

    • 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
    • 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
    • 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

    POINT 休憩時間

    休憩時間は労働者が「権利として労働から離れることを保障されている時間」であり、労働基準法第34条で定められています。労働から離れることが保障されていない状態で待機をしている作業に従事しない時間、いわゆる「手待時間」とは異なります。
    労働基準法の規定から、休憩時間を見てみましょう。

    • 第34条使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない
    • 2前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない
    • 3使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない

    労働時間と休憩時間の関係は、以下の表の通りです。

    労働時間 休憩時間
    6時間まで 与えなくてもよい
    6時間を超え8時間まで 少なくとも45分
    8時間を超える場合 少なくとも1時間

    休憩時間は、「一斉休憩」が原則です。
    しかし、休憩を一斉に与えることがなじまない特定の業種に該当する場合は、休憩時間を一斉に与えることが除外されています。
    また、職場の実情に合わせた労使協定を結ぶことで「一斉休憩」の適用を除外する場合もあります。

    休憩時間を一斉に与えることが除外されているのは、以下の2つのケースです。

    • 1適用除外事業に該当する場合
    • 2労使協定による適用除外

    1の適用除外になる業種は、以下の業種です。
    こちらの業種では、労使協定を締結することなく、「一斉休憩」の適用が除外されます。

    • 運輸交通業
    • 商業
    • 金融広告業
    • 映画・演劇業
    • 通信業
    • 保健衛生業
    • 接客娯楽業
    • 官公署

    2の労使協定により「一斉休憩」を除外するケースでは、事業場の労働者の過半数を組織する労働組合(これがない場合は過半数代表者)との間の書面の協定により、「一斉に休憩を与えない労働者の範囲」と「労働者に対する休憩の与え方」を定め、就業規則などにも定めておく必要があります。なお、この労使協定については、労働基準監督署への届け出は不要です。

    休憩時間を分割する場合
    休憩時間は、分割して従業員に取らせることも可能です。例えば、休憩時間を1時間とする場合、12:00~12:45を昼休憩とし、15:00~15:15にお茶やトイレ休憩を取るケースがあります。しかし、分割された休憩時間が極端に短いと、「休憩時間の自由利用」が事実上制限されてしまい、労働者が労働から離れることが可能とはいえません。
    休憩時間を分割して取らせる場合には、従業員がきちんと休めるように配慮することが大切です。

    手間のかかる勤怠管理、効率化しませんか?

    法定労働時間とは

    法定労働時間とは

    では、法定労働時間とはどのようなものでしょうか。労働基準法第32条を見てみましょう。

    • 第32条使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない
    • 2使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない

    労働基準法第32条では、労働時間の上限を上記のように原則1日8時間・1週原則40時間と規定しています。これが「法定労働時間」です。
    ただし、これには例外があり、商業、映画・演劇業(映画製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業で労働者が常時10人未満の事業場に限り、1週間の法定労働時間は44時間です。(※1)

    これは、手待ち時間の長さや公衆に不便などの特別の事情を考慮して特別に認められたもので、2001年4月1日から1日8時間、1週44時間に改正されています。(※2)この特別の事情がある事業場が「特例措置対象事業場」です。例えば、企業全体で100人の従業員がいたとしても、1つの営業所で9人しか従業員がいない場合は、特例措置対象事業場に該当します。

    労働者数は、企業全体の人数ではなく、支店や工場、店舗、営業所など1つ1つの事業所単位で数えることも覚えておきましょう。

    <特例措置対象事業場>

    商業 卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
    映画・演劇業 映画の映写(映画館など映画製作事業を除くもの)、演劇、その他興業の事業
    保健衛生業 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
    接客娯楽業 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

    POINT 時間外労働

    ここでいう「時間外労働」は、原則1日8時間、1週40時間となる法定労働時間を超えて働いた時間の労働のことです。企業が従業員に時間外労働をさせる場合、36協定を締結して所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。また、この場合は適正に割増賃金を支払わなければなりません。

    働き方改革関連法の成立に伴い労働基準法が改正され、時間外労働には罰則付きで上限規制が定められました。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用されています。時間外労働の上限規制には罰則もあるため、企業は常に時間外労働の上限規制が守られているかをチェックすることが必要です。詳しくはリンク先を参考にしてみてください。

    POINT 36協定

    以下のようなケースでは、労働基準法第36条に従って労使協定(いわゆる「36協定」)を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが必要です。

    • 企業が従業員に原則1日8時間・週40時間となる法定労働時間を超えて働かせる場合
    • 原則毎週少なくとも1日ある法定休日に労働させる場合

    36協定については、こちらから詳しく確認できます。

    POINT 割増賃金

    企業が従業員に時間外労働をさせた場合には、割増賃金の支払いが必要です。
    割増賃金には時間外労働に対するもののほか、休日労働に対するものと深夜業に対するものがあります。
    休日労働とは、労働基準法で定められた法定休日(週1日又は4週を通じて4日。)に労働させることをいいます。休日労働に対する割増賃金は、「通常の賃金の3割5分以上」の割増賃金の支払いが必要です。
    深夜業とは、法定労働時間を超える時間外労働または22:00~翌日5:00までの深夜労働をさせることです。深夜業に対する割増賃金は「通常の賃金の2割5分以上」の割増賃金を支払う旨の定めがあります。

    例えば、時給1,000円で働く従業員が時間外労働を行った場合、1,250円(1,000円×125%)以上支払うことになります。また、割増賃金は重複して発生するケースがあるため、注意してください。

    • 時間外労働が深夜に及んだ場合は「2割5分+2割5分」で合計5割以上
    • 休日労働が深夜に及んだ場合は「3割5分+2割5分」で合計6割以上

    しかし、休日労働と時間外労働に対する割増賃金が重複することはありません。法定休日には、時間外労働という概念がないため、休日に8時間を超えて働いた場合でも休日労働として計算します。

    <割増賃金の種類>

    種類 支払い条件 割増率
    時間外
    (時間外手当・残業手当)
    法定労働時間を超えて働いたとき
    (1日8時間超・1週40時間超)
    25%以上
    時間外労働の限度時間を超えて働いたとき
    (1ヵ月45時間・1年360時間超)
    25%以上
    1ヵ月60時間を超える時間外労働があったとき 50%以上
    休日
    (休日手当)
    法定休日(週1日または4週間を通じて4日)に働いたとき 35%以上
    深夜
    (深夜手当)
    深夜(22:00~翌日5:00まで)に働いたとき 25%以上

    POINT 有給休暇取得時の勤務時間の考え方

    割増賃金の対象となる労働時間は、実際に働いた「実労働時間」となり、
    年次有給休暇を使用した時間は、勤務時間として数えないことも覚えておきましょう。
    例えば、1日8時間の所定労働時間で、従業員が1時間の時間単位年休を取得してから出勤し、1時間残業した場合はどうなるでしょうか。
    この場合、「有給休暇1時間+8時間=9時間」となったとしても、残業の1時間は1.25倍で計算せずに、1倍で計算することになります。1日8時間や1週間40時間の法定労働時間は、有給休暇の時間を除いた実労働時間で計算する点は押さえておきましょう。

    中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ

    2021年時点で中小企業は「1ヵ月60時間を超える時間外労働の割増賃金(50%以上)」について2023年3月31日まで猶予されている状況です。しかし、この猶予措置は同日をもって廃止されることが決定しています。
    2023年4月1日以降は、中小企業でも時間外労働が1ヵ月60時間を超える部分について50%以上の割増賃金率に引き上げられるため、正確に時間外労働時間を集計できるように準備しておかなければなりません。

    割増賃金の計算方法

    割増賃金は、以下の手順で計算します。

    • 11時間あたりの通常の賃金額を計算
    • 21をもとに割増賃金額を計算

    計算の基礎に入れるべき賃金には、基本給だけではなく各種手当が含まれます。時給制や月給制によっても計算方法は異なり、計算の基礎に入れるべき手当と入れなくてもよい手当がある点に留意して計算しなければなりません。以下、詳細について見ていきましょう。

    1 1時間あたりの通常の賃金額を計算

    1時間あたりの通常の賃金額(割増賃金の単価)には、以下の計算式があります。基本給が日給かつ手当てが歩合給や月給など、基本給や手当の種類で賃金の計算方法が異なるケースでは、基本給と手当ごとにそれぞれに以下の計算式で計算し、合計することが必要です。

    • ア.時給制の場合
      「割増賃金の単価=時間給」
    • イ.基本給や各種手当が月給制の場合
      「割増賃金の単価=(月給+各種手当)÷1年間における1ヵ月平均所定労働時間」
      • 1ヵ月平均所定労働時間は、以下のように計算します。
      • 「1ヵ月平均所定労働時間=(365日または366日-年間所定休日数)×1日の所定労働時間÷12ヵ月」
    • ウ.基本給や各種手当が日給制の場合
      「割増賃金の単価=(基本給+各種手当)÷1日の所定労働時間」
    • エ.歩合給制の場合
      「割増賃金の単価」=歩合給の手当÷1ヵ月の総労働時間

    労働とは直接的に関係がない手当や従業員の個人的な事情による基準で支給される以下の7つの手当は、割増賃金の単価を計算する基礎に含めなくてもよいことになっています。

    • 家族手当
    • 通勤手当
    • 別居手当・単身赴任手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当
    • 臨時の手当(結婚手当、出産手当、大入袋、残業代など)
    • 1ヵ月を超える期間ごとに支給される手当(賞与など)

    家族手当や通勤手当、住宅手当は、それぞれが家族数、交通費・距離、家賃に比例して支給するものが対象です。一律の金額が支給されるような場合は、たとえ「家族手当」や「住宅手当」という名称だったとしても、割増賃金の単価を計算する基礎に算入しなければなりません。就業規則などで手当が支給される条件をよく確認するようにしましょう。

    2 割増賃金額を計算

    ①で計算した割増賃金の単価に、それぞれ法定外労働、深夜・休日労働などの時間数と該当する割増率をかけて、割増賃金を計算します。

    割増賃金額=1時間あたりの通常の賃金額 ×時間外労働などの労働時間数×該当時間の割増率

    「時間外労働が深夜に及んだ」など、異なる種類の割増賃金が重複する場合は、計算に気をつけましょう。なぜなら、単純に割増賃金の単価をそれぞれに1.5倍すると、1倍の部分(労働時間に対する通常の賃金部分)が重複し、給料が過払いとなってしまうケースがあるからです。

    <1時間が時間外労働と深夜労働で重複する場合>

    • ✕:(時間外労働1時間分+深夜労働1時間分)×1.5(1倍部分が重複してしまう)
    • 〇:(時間外労働1時間分×1.25)+(深夜労働1時間分)×0.25

    POINT フレックスタイム制における法定労働時間

    フレックスタイム制とは、「清算期間」と呼ばれる一定の期間を平均し、あらかじめ1週間の労働時間が40時間以内になるように総労働時間を定め、従業員がその範囲内で日々の始業・終業時刻を自ら決定し、労働時間を調整することができる制度です。

    これまで清算期間は、1ヵ月以内とする必要がありましたが、2019年4月の労働基準法の改正により、清算期間の上限が3ヵ月に延長されました。2021年現在は、月をまたいだ柔軟な労働時間の調整も可能です。そのため、月によって繁忙期と閑散期がある企業や、子どもの夏休みに合わせて労働時間を調整したい従業員などにも柔軟に対応できる制度になっています。

    フレックスタイム制では、柔軟な働き方が可能です。しかし、36協定の定めがなければ、清算期間内を平均し、1週間あたりの労働時間が週の法定労働時間(40時間または44時間)を超えることはできません。

    清算期間における総枠の労働時間の限度

    清算期間における総労働時間は、法定労働時間の総枠の範囲内となります。

    <計算式>

    清算期間における総労働時間≦清算期間の暦日数÷7日×1週間の法定労働時間(40時間)

    1ヵ月単位、2ヵ月単位、3ヵ月単位での「清算期間の暦日数」と「法定労働時間の総枠」の関係は、以下の通りです。清算期間における総労働時間を決める際には、以下の総枠早見表を参考にすると便利です。

    法定労働時間の総枠早見表

    1ヵ月単位 2ヵ月単位 3ヵ月単位
    清算期間の
    暦日数
    法定労働時間
    の総枠
    清算期間の
    暦日数
    法定労働時間
    の総枠
    清算期間の
    暦日数
    法定労働時間
    の総枠
    31日 177.1時間 62日 354.2時間 92日 525.7時間
    30日 171.4時間 61日 348.5時間 91日 520.0時間
    29日 165.7時間 60日 342.8時間 90日 514.2時間
    28日 160.0時間 59日 337.1時間 80日 508.5時間

    特例措置対象事業場の場合、清算期間が1ヵ月以内の場合は週平均44時間までとすることが可能です。しかし、清算期間が1ヵ月を超える場合で週平均40時間を超えて労働させるには36協定の締結と所轄労働基準監督署への届出、割増賃金の支払いが必要になります。フレックスタイム制について詳しく知りたい方は下記リンクを参考にしてください。

    POINT 変形労働時間制における法定労働時間

    フレックスタイム制のほかにも、労働基準法には以下のような変形労働時間制の制度があります。

    • 1ヵ月単位の変形労働時間制
    • 1年単位の変形労働時間制
    • 1週間単位の非定型的変形労働時間制

    これらの制度には、労使協定が締結されていることが必要など一定の条件があります。一定期間内の平均した労働時間が法定労働時間を超えないように労働時間を定めることで、特定の週や特定の日に法定労働時間を超えた働き方が可能です。

    変形期間における法定労働時間の上限
    変形労働時間制における法定労働時間の上限は、以下の計算式で計算します。月によって暦日数が異なるため、早見表を活用すると便利です。

    <計算式>

    40時間(または44時間)×変形期間の暦日数÷7

    時間数早見表

    暦日数 法定労働時間が40時間の場合 法定労働時間が44時間の場合
    31日 177.1時間 194.8時間
    30日 171.4時間 188.5時間
    29日 165.7時間 182.2時間
    28日 160.0時間 176.0時間

    所定労働時間とは

    所定労働時間とは

    所定労働時間とは、企業が就業規則や雇用契約書などで法定労働時間の範囲内に設定した勤務時間のことです。就業規則や雇用契約書等で定められている始業から終業までの時間から、休憩時間を差し引いた労働時間が所定労働時間となります。

    所定労働時間は、就業規則や雇用契約書などで定めるもので、法定労働時間の範囲内で企業が自由に設定することが可能です。
    法定労働時間は、原則「1日8時間・1週原則40時間」と規定していますが、正社員でも1日7.5時間労働とするなど、「1日8時間・1週原則40時間」の法定労働時間よりも短くしている企業もあります。

    法定労働時間と所定労働時間の違い

    法定労働時間と所定労働時間の違い

    法定労働時間は、労働基準法第32条に規定されている原則的な労働時間の上限「1日8時間1週原則40時間」のことを指します。一方、所定労働時間とは、企業が就業規則や雇用契約書などで法定労働時間の範囲内で設定した勤務時間です。

    厚生労働省が公表している「令和3年就労条件総合調査」によると、1日の所定労働時間については1企業平均7時間47分(令和2年調査では7時間47分)、労働者1人平均については7時間46分(同7時間46分)でした。
    また、週所定労働時間については1企業平均39時間25分(同39時間24分)、労働者1人平均については39時間04分(同39時間03分)となっています。

    社労士ポイント

    就労条件総合調査から企業の所定労働時間を見ると、多くの企業は法定労働時間よりも所定労働時間を短くしていることがわかります。また、「宿泊業、飲食サービス業」では、1企業平均の週所定労働時間が 40 時間 3分と最も長くなっているのも特徴的です。

    店舗を開けている時間が長く、接客を必要とする業種では、労働時間が長期化する傾向があります。法律上も、手待ち時間が長いことなど特別の事情を考慮して、接客娯楽業の常時10人未満の事業場では、1週間の法定労働時間を44時間とすることが認められています。所定労働時間は、業種の特性が大きく影響されるといえるでしょう。

    休憩時間について法律上は、1日の所定労働時間が8時間の場合、休憩時間は45分でよいことになります。しかし、休憩時間が45分の場合、労働時間が1分でも8時間を超えると、15分の休憩を労働時間の途中で追加しなければなりません。このような取り扱いは現実的に困難となるため、多くの企業ではあらかじめ休憩時間を1時間に設定しています。

    POINT 法定内の所定労働時間

    法定内の所定労働時間

    図に示すように、所定労働時間を7時間と設定している場合、8時間の労働でも「法定内の所定外労働時間」が1時間発生します。この1時間は「法内残業」とも呼ばれます。「法内残業を行った場合にいくらの賃金を支払うのか」については、雇用契約書や就業規則(賃金規程)の規定によって定めることが必要です。

    法内残業に対する残業代については、労働基準法に定めはなく、法律上の割増賃金の支払い義務はありません。そのため法内残業が発生した場合、どの程度の割増率にするのかは企業によって取り扱いが異なり、なかには法定内残業の割増率を25%、法定外残業を30%とする企業もあります。

    法内残業でも、通常の賃金の1.25倍にする企業もあれば、割増率を25%未満で独自に設定する企業、通常の賃金と同じ単価にする(1倍)企業など、取り扱いは企業によってさまざまです。

    まとめ

    「法定労働時間」は、労働基準法で定められた原則の労働時間、「所定労働時間」は企業が就業規則や雇用契約書などで法定労働時間の範囲内で設定した勤務時間です。「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いや労働時間の考え方を正しく認識し、勤怠管理と給与計算を正しく行うようにしましょう。

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    加治 直樹
    • 監修加治 直樹
    • 銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。
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