【社労士監修】タイムカードがない会社は違法?残業代は出る?厚労省ガイドラインを解説

タイムカード

【社労士監修】タイムカードがない会社は違法?残業代は出る?厚労省ガイドラインを解説

企業には労働時間の適切な管理・把握義務が法律で義務付けられています。最近では多くの企業でタイムカードが導入されていますが、その一方で、タイムカードを使わず手書きの出勤簿などで管理している企業もまだ存在しているのが現状です。それでは、タイムカードで労働時間を管理していない会社は法律的に問題ないのでしょうか。

本記事では、勤怠管理の必要性と厚生労働省のガイドラインが示す勤怠管理の方法を解説しつつ、タイムカードの導入を検討している方に向けてメリットやデメリットについても紹介します。自社の勤怠管理の方法をチェックし、さらなる適正な勤怠管理の改善にお役立てください。

勤怠管理をもっとラクに

この記事の目次

    タイムカードがないのは違法?

    タイムカードがないのは違法?

    タイムカードがなくても、即違法と判断されるわけではありません。厚生労働省が2017年1月に策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(以下、厚労省ガイドライン)」にあるように、労働時間の確認と記録は、適正な措置を講じれば自己申告でも認められます。

    タイムカードは、出退勤の記録をするひとつの手段に過ぎません。タイムカードの購入と設置が義務付けられていることも、労働時間の記録方法として「タイムカードで打刻しなければならない」という法律の規定もありません。

    打刻手段よりも、法的に問題なく正確に労働時間が記録できているのかを重要視されます。タイムカードがなくても、きちんと勤怠情報が記録されており、実態が把握できていれば問題はありません。

    勤怠管理は任意ではなく法律で定められた義務

    勤怠管理は任意ではなく法律で定められた義務

    それでは、「きちんとした勤怠情報の記録や把握」とはどのような状態を指すのでしょうか。

    まずは前提知識として、従業員の労働時間を管理・把握するための法律はどのように定められているのか、勤怠管理の重要性を大きく2つのポイントにわけて解説していきます。

    ①時間外労働への割増賃金支払い

    労働基準法で定められている法定労働時間は、1日8時間・1週40時間です。(一部特例として商業、映画製作を除く映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業などの業種で、常時使用する労働者が10人未満の事業場の場合は、週の法定労働時間を44時間としています。)企業は、労働基準法第36条に定められている36協定を締結することで、原則となる1日8時間・1週40時間を越えた時間外労働が可能となります。ただし、その超過した労働時間に対しては割増賃金の支払いが義務付けられており、その前提として勤務実績の把握が重要となってきます。

    法定労働時間や割増賃金に関して詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

    出退勤時間の記録保存の義務

    出退勤記録に関して、厚労省ガイドラインでは、従業員の始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること、賃金台帳の適切な調製と労働時間の記録に関する書類の保存をすることを義務付けています。
    なお、厚労省ガイドライン上で、記録の保存を3年としていますが、2020年4月に施行された改正労働基準法109条により5年に延長されています。2022年現在は事務的な混乱を避けるため、3年で据え置きされていますが、近い将来、正式に5年に延長される可能性があることを認識しておくとよいでしょう。

    (5)労働時間の記録に関する書類の保存
    使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存しなければならないこと。

    賃金台帳は、従業員ごとに労働日数・労働時間数・休日労働時間数・時間外労働時間数・深夜労働時間数など、法律で定められた事項を記載しなければなりません。賃金台帳に、これらの事項の記載がないと労働基準法120条に則り「30万円以下の罰金」が適用される可能性があります。

    タイムカードも出退勤時間を記録した労働時間に関する重要な書類です。賃金台帳と同様に3年間の保存義務があり、適正に保存していなければ、同じく「30万円以下の罰金」の対象になることも覚えておきましょう。

    賃金台帳をはじめとした記録の保存に関して、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

    ②働き方改革法案による長時間労働の是正

    2019年から実施されている働き方改革の重要施策の一つに、長時間労働の是正があります。働き方改革関連法施行に伴い、労働基準法と労働安全衛生法の一部が改正され、労働時間に関する制度の見直しが行われました。これによって、勤怠管理の重要性が増し、労働時間の管理・把握に関して一層厳しくなったといえるでしょう。具体的には、労働時間に関するものとして以下の施策があります。

    • 【労働時間に関する制度の見直し】
    • 時間外労働の上限規制
    • 月60時間超となる時間外労働における50%以上の割増賃金率の中小企業の猶予措置を廃止
    • 10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対する年5日の時季指定義務
    • 高度プロフェッショナル制度における健康確保措置の強化
    • 労働者の労働時間の状況を把握する義務を労働安全衛生法に明記

    上記施策の中から、特に労働時間と密接な関係がある以下の2つについて解説します。

    時間外労働の上限規制

    先に説明した通り、36協定の締結により法定労働時間を越えた労働が可能ですが、労働基準法の改正により、時間外労働の上限は月45時間・年360時間以内が原則となりました。

    ただし、臨時的に通常予見し得ないほどの業務量の大幅な増加が発生し、原則となる時間外労働の上限を超えた稼働が必要となった場合は、特別条項を締結することで、さらに時間外労働を延長できます。

    この場合でも、時間外労働は年720時間以内、単月で100時間未満(休日労働を含む)、2~6ヵ月の平均で月80時間以内(休日労働を含む)の範囲とする必要があります。

    時間外労働の上限規制に関して、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

    労働時間の状況把握の義務

    労働安全衛生法の改正により、長時間労働を行った者に対する面接指導を実施するため、企業には労働時間の状況を把握する義務が法律上明記されました。次の2つの要件に該当する場合には、医師による面接指導を実施することが企業の義務となります。

    • 1.時間外・休日労働が1ヵ月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる
    • 2.従業員本人の申出

    労働者安全衛生法における労働時間の状況の把握義務は、通常の労働者だけではなく、労働時間や休日、休憩が適用されない管理監督者なども対象です。

    なお、高度プロフェッショナル制度の対象者に関しては、別途、労働基準法第41条の2により労働時間の把握や状況に応じた措置が義務付けられているため同様の配慮が必要です。ほぼすべての従業員に対して労働時間の把握の義務があるといえるでしょう。

    手間のかかる勤怠管理、効率化しませんか?

    厚労省ガイドライン掲載の勤怠管理方法

    厚労省ガイドライン掲載の勤怠管理方法

    先に説明した通り、企業は、ほぼすべての従業員に対して労働時間の把握義務があります。勤怠管理の方法として、厚労省ガイドラインに掲載されている始業・終業時刻の確認や記録の方法を確認していきましょう。

    タイムカードや勤怠管理システムなど客観的な打刻

    始業・終業の時刻の確認と記録は、使用者の現認と客観的な記録を基礎とすることが原則です。厚労省ガイドラインでは、以下のように記載されています。

    4 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

    • (1)始業・終業時刻の確認及び記録
      使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
    • (2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
      使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
      • 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
      • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

    労働時間の管理としては、上司自ら従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認する「現認」による方法でも問題はありません。しかし、上司にも日々やらなければならない業務があり、従業員が多くなると、従業員の始業・終業の時刻を都度確認するのに手間がかかります。

    自己申告制

    タイムカード、ICカード、パソコンの記録などにより労働時間の管理ができない場合は、自己申告制による方法でも可能です。従業員が社外で活動することが多く、労働時間を営業日誌や出勤簿に記載して自己申告により管理せざるを得ないケースもあるでしょう。しかし、自己申告により管理する場合は以下の厚労省ガイドラインにあるように複数の措置を取る必要があります。

    (3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
    (中略)

    • 自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
    • 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
    • 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
    • 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。

    自己申告による労働時間の管理は、時にあいまいな管理になりがちです。そのため、従業員には労働時間を正しく記録する必要性について説明し、実際の労働時間と著しく乖離する場合、実態調査と正しい労働時間への補正が必要です。労働時間を管理する者にも厚労省ガイドラインの主旨を説明し、理解を得る必要があるでしょう。

    • 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

    自己申告制は、従業員自身による適正な申告が前提となります。そのため、申告できる残業時間数の上限を設定したり、上限を超える申告を認めないような指示を出したりするようなことがあってはなりません。また、残業削減のための社内通達やみなし残業代などの制度が、適正な労働時間の申告を妨げる原因とならないように確認することも必要です。そして、36協定に定めた残業時間数を超えているにもかかわらず、記録上超えていないようにすることも認められません。

    これらの条件を守って管理する必要がある自己申告制は、実際に取り入れるのは難易度の高い勤怠管理方法といえるでしょう。

    社労士ポイント1:タイムカードがない会社に残業代請求や労災認定はできる?

    社労士ポイント1:タイムカードがない会社に残業代請求や労災認定はできる?

    長時間労働による残業代請求や、体調不良による労災申請をめぐる労使のトラブルを耳にすることがあります。労働時間の記録を自己申告制にして、タイムカードがないために労働時間の確認ができず、残業代請求や労災認定ができない、ということはあるのでしょうか。

    実は、タイムカードがない場合でも従業員が未払い残業代(休日・深夜労働を含む)の割増賃金を請求した裁判例があります。

    また、タイムカードなどによる勤怠記録がない場合でも、労働者のメモを根拠に残業が認められた事件もあります。結論としては、タイムカードがなくても、他に勤務実績のわかる記録や証拠となるものがあれば、残業代の請求も労災認定も可能です。したがって、残業代支払い抑制や労災隠しのために自己申告制を採用することはおすすめできません。

    社労士ポイント2:タイムカードによる勤怠管理を行っていても違法になるケース

    社労士ポイント2:タイムカードによる勤怠管理を行っていても違法になるケース

    タイムカードを導入していても、適切な打刻が行われていない場合や打刻時間と実際の労働時間に乖離がある場合には、未払残業代を請求され、労使のトラブルの原因にもなりかねません。最悪の場合、罰則が科される可能性があります。

    以下で、タイムカードによる勤怠管理を行っていても違法となるケースを紹介します。

    従業員側の改ざんや不正打刻

    残業代などの給与を多く得ることを目的として意図的に打刻時間の変更や改ざんを行っていた場合は、刑法246条の詐欺罪などに問われる可能性があります。残業代の水増し行為は、「人をあざむいて財物を交付させた」ことになり、罪に問われれば10年以下の懲役が科せられる可能性があります。

    また、就業規則には詐欺や横領など犯罪行為に対する懲戒事由が定められているのが一般的です。たとえ、不正に得た給与を返金したとしても、横領や詐欺に該当するような行為をすれば、懲戒処分を受ける可能性が高いでしょう。悪質なものと判断されれば懲戒解雇となる可能性もあります。

    いずれにしても、タイムカードの打刻時間の改ざんや不正打刻は犯罪です。どのような理由があったとしても、おすすめできません。

    会社側の改ざんや不正打刻

    会社がタイムカードの改ざんや不正打刻をすれば、本来支払うべき賃金を支払わなかったことになり、労働基準法第24条の違反に該当します。従業員が労働基準監督署に相談すれば、行政指導により是正を求められることになるでしょう。なお、労働基準法第24条では、賃金は全額支払わなければならないことが定められており、これに違反すれば「30万円以下の罰金」を科せられる可能性もあります。

    また、従業員から未払いとなっている賃金や残業代を裁判で請求されることも考えられます。裁判で請求されれば、付加金の支払いが命じられる可能性があること覚えておきましょう。裁判所は、労働者の請求により、本来得ることができた以下の対象となる手当や賃金に加えて、これと同一の金額となる付加金の支払いを命じることができます。

    • 【付加金の対象となる賃金・手当】
    • 労働基準法第20条1項に定める解雇予告手当
    • 労働基準法第26条に定める休業手当
    • 労働基準法第37条に定める割増賃金
    • 労働基準法第39条9項に定める年次有給休暇中の賃金

    人件費の抑制や労基署の介入を逃れるために実際の勤怠を少なく見積もると、かえって大きな損失につながりかねません。適切な勤怠管理を第一に、改ざんや不正が起きないような環境づくりを目指すことをおすすめします。

    タイムカードの導入、どんなメリット・デメリットがある?

    タイムカードの導入、どんなメリット・デメリットがある?

    ここからは、タイムカードの導入を検討している方に向けてよくあるメリット・デメリットを紹介します。

    メリット

    • 比較的安価に導入できる
    • 設置が簡単
    • 使い方がシンプルで誰でも使える

    導入時にタイムレコーダーと各従業員分のカードを用意すれば、手軽に導入できるという点では手軽な管理方法といえるでしょう。タイムレコーダーにカードを差し込むだけで打刻が完了するというシンプルな仕組みのため、誰でもすぐに利用できる所もポイントです。導入後にかかるランニングコストも、毎月従業員の人数分のカードを追加購入するだけで済むため安価です。少人数で、できるだけ費用を抑えた運用を行いたい企業で活用が期待できます。

    デメリット

    • 打刻忘れが発生しても気づきにくい
    • 不正や改ざんに気づきにくい
    • 集計業務が手計算になりミスが発生しやすい
    • 出張や外出の多い職場だと機能しづらい
    • 拠点が多い職場だと月末のタイムカード収集に手間がかかる
    • 月中の残業管理が難しい
    • 休暇管理できない
    • タイムカードの保管・破棄コストがかかる

    「タイムレコーダーにカードを差し込むだけ」というシンプルな仕組みゆえに、従業員数の増加と比例して不正防止対策や集計業務の効率化で課題を抱えやすいでしょう。従業員の打刻状況を正確に把握する必要がありますが、人数が増えれば管理の目が届きづらくなり、勤怠状況のチェックは困難になっていきます。給与計算においても、勤務時間の集計や計算などが煩雑になっていくため、賃金支払いを誤るなど問題が発生することが予想されます。また、外出が多かったりリモートワークなど職場が固定されない業務の場合は、日常的にタイムカードへの打刻を行うことは困難となるでしょう。

    タイムカードのデメリットを補う、クラウド型勤怠管理システムとは?

    タイムカードのデメリットを補う、クラウド型勤怠管理システムとは?

    タイムカードは、安価で手軽に導入できるため、少人数の企業で運用するのであれば有効活用できます。ただし、従業員が30人以上を越えてくると、勤怠管理が難化していきます。打刻忘れを発見しづらいというリスクだけでなく、集計時の回収や時間計算の手間、残業管理や休暇管理が従業員の数に比例して増えていきます。さらにタイムカードには現行で3年(将来的には5年)の保管義務が存在するため、ますます管理が手間になっていくことが想定されます。

    クラウド型勤怠管理システムであれば、それらのデメリットを補えます。

    打刻忘れの防止

    システム上で打刻忘れを検知し、打刻漏れや勤怠予定と異なる打刻はすぐに従業員の画面にアラートを表示します。
    また、管理者画面から個別に従業員の勤怠情報をリアルタイムで確認できるため、管理者側でも打刻忘れをしている従業員を容易に確認できます。

    残業時間の超過を自動検知

    36協定などを基準に、一定の残業時間を超過している従業員にはアラートで残業抑制を警告します。上長側にも通知が届くため、双方で未然に残業過多を抑制する意識が働くようになっています。

    勤怠時間を自動で集計

    給与計算で必要な勤務時間の集計を、法定外残業時間など割増賃金が発生する時間帯も考慮しての自動集計できます。ワンクリックでデータ出力後、すぐに給与計算システムに連携することができるので、月初に発生する銀行への振り込み業務の負担を軽減します。

    休暇管理もセットで行える

    法定休暇だけでなく特別休暇も含めた休暇管理に対応しています。
    労務担当者はあらかじめ休暇設定を行うだけで、あとは従業員・上長それぞれが申請・承認作業を行うフローとなっているため自動で休暇管理を行うことができるようになります。

    年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員がいる企業の場合は、年次有給休暇管理簿の自動作成機能により年5日以上の有給休暇の確実な取得ができているのか※手軽に管理できるようになります。

    ※2019年4月より、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員がいる企業の場合、従業員に対して年5日以上の有給休暇の確実な取得をする義務を負うことになりました。

    まとめ

    タイムカードがなくても、適切な勤怠管理ができていれば自己申告という形をとっていても問題はありません。ただし、「適切」であると判断される基準は厚労省ガイドラインにあるように厳密で、企業が複数の措置を講じるなどこまめな働きかけが必須となります。もし、勤怠管理の整備が厚労省ガイドラインを満たしていない場合は、賃金未払いによる人件費の肥大化や健康管理の不届きによる健康被害リスクなど、企業の信用に関わる事件が起きかねません。

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    加治 直樹
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    • 銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。
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